[ お部屋探訪Vol.1 ]

家具で一体感を生み小物で遊ぶ、
山小屋のような寛ぎの部屋

Pickup Product・2022.11.17

空間づくりは、家具選びはもちろんのこと、イメージに合う組み合わせや置き方を見つけることが醍醐味といっても過言ではありません。新しくスタートするこの連載「お部屋探訪(仮タイトル!)」では、さまざまな方のお部屋におじゃまして、スタイリングやインテリアの楽しみ方についてお話をうかがい、そこから見えてくる空間づくりのポイントをご紹介します。

第一回は、TIMELESS COMFORTのスタッフとして働いていた経歴を持つIさん宅へ。今年完成したばかりという戸建ての新居におじゃましました。

3つの素材テーマと高さをポイントにした家具選び

2022年5月に完成したIさんのお宅は、1階にガレージと寝室、光が気持ちよく差し込む2階にリビング、ダイニング、キッチンがワンフロアの中に心地よく配置されているデザイン。ポイントになる家具もブラインドも、そして天井までもがウッド素材でやわらかな統一感があり、あちらこちらにはアメリカの国立公園のグッズや写真が飾られていて、どこか山小屋のような温かい雰囲気も漂っているのが印象的です。

「アメリカの国立公園が好きで、毎年のように足を運んでいた時期もあるほど。国立公園の敷地内にはホテルがあるところもあるのですが、無意識にそういう施設の雰囲気やインテリアデザインに影響を受けているのかもしれません。家具は、〈ブラック、ウッド、真鍮 〉という3つをテーマに決めて探しました」

とIさん。最初に色や素材をある程度決めてスタイリングをするのは、空間に統一感が出るのでとてもおすすめの手法です。

家具のデザイントーンの他に空間づくりで気をつけたことをお聞きすると、「全体的に低くしているんです」とのお答え。
「家具は全体的に低いもの、目線が低くなるものを選びました。圧迫感のあるような背の高い家具もあえておかずに、空間を保つようにしています」
なるほど確かに、壁の高い位置に見えているのは、観葉植物くらい。ダイニングチェアやソファに腰掛ければ、天井が高く感じられて、ゆったりとした贅沢空間にいる気持ちよさを味わうことができます。

では早速、スタイリングを見せていただきましょう。

大型家具は同ブランドで合わせ、小物や飾りで遊び心を

まずは、ダイニングから。旅の思い出が散りばめられた壁は、空間全体のアイキャッチですが、その下に置かれている【XANDER DESIGNS(サンダーデザイン)】のサイドボードは、新規で購入した家具の中でも最初に決めたそう。上には、コレクションしているというサボテンモチーフの置物や訪れたい場所の写真集などが並んでいます。

「もともと北欧ヴィンテージのサイドボードを探していたんですけど、中古でもなかなか高価で。それがいいタイミングで北欧ヴィンテージからデザインを起こしているというこのアイテムを見つけたんです。棚の開け閉めが蛇腹なところも気に入っていますし、引き出しを開けるのも感触が気持ちよくて」

サイドボードの前に置かれたダイニングテーブルは、サイドボード同じ【XANDER DESIGNS】のアイテム。アールが美しく思わず触りたくなります。
「このブランドは、全体的に丸みがいいなぁと思っています。テーブルのアールもいいですよね。足にブラスカラーのパーツを使用しているのが気に入って、これにしました」

そこに合わせている椅子は、あえて同じものでは揃えずバラバラのデザインをセレクトしているのもいいですね。
「ほら、気分によって椅子を選べるって楽しいから!(笑)結果的に一番座っているのは、【SQUARE ROOTS(スクエアルーツ)】のSLUNG CHAIR(スラング チェア)。レザー素材なので座っているうちに体に馴染んで、快適さが増している気がします」

ワンフロアの中にいろいろな要素を配置しているこの空間で、ダイニングテーブルの上に吊るされた照明は、ピリッと程よいアクセントを効かせています。
「もともとバータイプの照明を吊るしたいとは思っていたんですけど、ウッドだけだとつまらなく感じてしまって。ステンレスとの組み合わせが印象的なこのアイテムと出会って、ウッドの素材が多い中でアクセントとしていいかもしれない、と思ったんです」
壁にかけられた時計やキッチンのステンレス素材とも見事にフィットして、空間の中に親和性が生まれているのが印象的です。

常識に捉われず、使いやすさを最優先にした工夫

リビングに選んだのは、ゆったり寛ぐことができる【HALO(ハロ)】のLUSCIOUS CHAISE LOUNGE SOFA(ルシアス シェーズロング ソファ)のブルーグレーのような絶妙な色も、空間の落ち着いたトーンに合っています。クッションには、遊び心のある柄物のカバーをチョイスしてアクセントにしているのもいいですね。

「このソファは、お店で座った時から沈む感じが気持ちよくて。よく妻と一緒に映画を見るのですが、そういう時はクッションを自分の周りに集めて、心地よい〝特等席〟を作るのが好きです。あまりの心地よさに、映画が終わるころには寝ちゃってることが多いんですけど(笑)」

ソファというと、壁に付けて置く方が多いと思いますが、Iさん宅ではあえて空間を設けて置いています。その配置の仕方にも、実用的な理由があると言います。

「壁に付けなかったのは、いくつかの理由があります。ひとつはテレビとの距離感。壁につけると少しだけ遠くなってしまうので、ちょうどよい位置にしたかったんです。もうひとつは、観葉植物を置くため。その他、暮らしの中の回遊導線も考えて、今の位置にしました」

テレビボードはサイドボード、ダイニングテーブルと同じ【XANDER DESIGNS】のものを選び、あえて足を外して使っています。それも、より使いやすくするための工夫。※1

「映画を見るので、ソファーに座った時に目線がやや下になるくらいがいいなと思って。足つきだと少し見上げる角度になりそうだったので、思い切って足を取り付けず直置きしています。今は壁掛けのテレビもありますけど、家具としてテレビボードは欲しくて。中には、DVDプレイヤーやソフト、コードもスッキリ収納できるので買ってよかったです」

「今回は、全体的にかなり背伸びしましたけどね!」と笑いながら、でも大満足そうなIさん。最後に、家具選びで譲れないところをお聞きしてみました。
「できるだけ、素材やデザインも含めて心から気に入ったもの、長く愛用できるものを選びたいと思っていました。この空間も、家具を妥協していたら、今のような居心地の良さにはなっていなかったかもしれませんね」


ウッド素材と観葉植物の存在感もあってか、室内でありながら自然の中にいるような心地よさのある部屋。デザインだけでも使い勝手だけでもない絶妙なバランスの家具選びと、ワンフロアの中でどんな時間も心地よく過ごすことができるように考え尽くされた家具の配置、そして、アクセント的にチラリと覗く遊び心など、あちらこちらにさすが! と唸るワザが効いていました。ありがとうございました!

 

※1  足を外した使い方は、ビスで床に傷が付いたり、床の構造によってはガタつきが出たりする場合がありますので本来はおすすめしておりません。設置面にフェルトをつけるなどの対応が必要となります。