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【料理家・橋本彩子さん】

魚介とハーブの
おいしい関係②

料理家のきょうの食卓・2023.06.29

料理のプロで活躍する料理家のご自宅やアトリエにはどんなこだわりが潜んでいるのでしょう。実際にお邪魔してその秘密をご紹介します。前回に引き続き「Food Letter」を主宰する橋本彩子さん。築地市場や豊洲市場に足を運んで食材選びをするので市場通の料理家として知られ、旬にこだわった美しい料理に心奪われます。

悩みに悩んだ
レイアウト

物件が決まったら、今度は城づくりです。「料理教室、プライベートレストラン、雑誌やカタログの撮影など、すべての仕事で使えるようなレイアウトにしないといけないのですごく悩みましたよ」。まず考えたのは、お客さまやスタッフの方の動線がスムーズなこと。広さの限られた空間にテーブルや椅子、食器棚などをどのように配置するか、そして自分が料理を作るライブ感をどうやったら感じてもらえるか。これらをすべて満たすレイアウトにたどり着くまで、配置図を書いては破り、書いては破り、と試行錯誤の日々が続きました。

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業者とDIYの
併用で改装

やっとレイアウトが決まったら、いよいよ作業開始です。「DIYを積極的に取り入れるとはいえ、水まわり、電気工事などは業者さんにお願いしました。キッチンについてはプロに図面を引いてもらいました」。特にわたしがこだわったDIYは壁作り。「アトリエを構えるときはどこかに使いたいと思っていたゴッホの壁紙。これだけはどうしても譲れませんでした」。しかし、絵があまりに目立つので壁には使えないと判断し、パーテーション(もちろんDIYで)として使うことにしました。さらに壁紙のグリーンはキーカラーにし、キッチン側の壁はグリーンに塗装しました。またテーブルはいろんなシーンで変幻自在に形が変えられるように、細かく分かれたものをDIYで揃えました。

最後はこだわりの
お皿選び

料理家にとってお皿は、料理をいかに美しく見せるかの舞台のようなもの。だから自分でこだわり抜いたものしか置いていません。「私が持っているお皿の量は少ないと思いますよ。一枚で何通りにも盛り付けられるものがベスト。和風でも洋風でも合うものを選ぶようにしています」。橋本さんが揃えているのはシンプルなものがほとんどで、作家ものやフランスのアンティーク、日本の骨董など。テーブルに置いたときにインパクトがあるものを念頭に選びます。「シンプルな皿×インパクトのある皿、の組み合わせは、プライベートレストランでコース料理を出すときに心地よいリズムが生まれます。カトラリーもセットでは揃えず、趣の違うものを混ぜて統一感を演出するのが好きです」。

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念願のアトリエで
沸き立つ料理への思い

「アトリエができて約一年。まだまだ完璧とは言えませんが、自分の城ができたことは大きな喜びです。ここで生み出す料理の数々は今までとは少し変わってきたような気がします。市場やご近所の店を巡って見つけた旬の野菜はもちろん、珍しい食材に出会うのも私の喜び。これらが新しいメニューづくりの後押しをしてくれます」。橋本さんは今まで積み上げてきた料理家としての経験に、アトリエという空間が加わって、おいしく、華やかな料理づくりに余念がありません。

今回ご紹介する
橋本さんのご自慢レシピ

今回橋本さんが市場で見つけた食材は「鯛」。鯛といえば、ハレの日の食材として知られていますが、橋本さんは鯛をソテーにして色鮮やかなソースをかけて洋風の一品に仕上げました。簡単にできるので、ぜひ作ってみてください。

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#Recipe
鯛のソテー パセリとトマトのソース
たっぷりのパセリとトマトを炒めるだけでできるソースが味の決め手。
短時間で作れて奥深い味が堪能できます。
豚肉のソテーなどにかけてもおいしいですよ。

材料(2人分)
鯛の切り身  2切れ
パセリの葉 1枝分
ミニトマト 8個
にんにく 1片
バター 10g
オリーブ油(EX.)  大さじ3ほど
薄力粉、塩、白こしょう 各適量

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鯛は塩(分量外)を軽くふって15分ほどおき、表面の水けをペーパータオルで拭く。パセリの葉はみじん切りにし、ミニトマトはへたを取って横半分に切る(写真)。にんにくはみじん切りにする。
☑︎𝗣𝗼𝗶𝗻𝘁 トマトを横半分に切るのは、縦に切るよりも果肉から水分が多く出るから。

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②①の鯛に塩、白こしょうをし、薄力粉をまぶして余分な粉をはたく。

フライパンにオリーブ油の半量を入れて中火にかけ、鯛の皮目を下にして、皮目がこんがり焼けるまでへらで軽く押しつけながら焼く(写真)。焼き上がったらバットに取り出す。

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④②のフライパンに残りのオリーブ油とにんにくを入れ、香りが立つまで弱火で炒める。パセリを加えてさっと炒め、ミニトマトも加えてへらで潰すようにしながら炒める(写真)。

冷たいバターを加え混ぜ、溶けたら塩、白こしょうで味をととのえる。
☑︎𝗣𝗼𝗶𝗻𝘁 冷たいバターを加えることで、ゆっくりと溶けて材料に絡み乳化してソースにとろみがつく。

器にの鯛を盛り、のソースをかける。

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テーブルには季節の花を!
花は食卓を華やかに彩るばかりでなく、
料理の引き立て役になってくれます。
さりげなく飾っておくと会話も弾みます。

橋本さんおすすめの TIMELESS COMFORT アイテム

アルテレニョカッティングボード

天然のオリーブの木はとても強固な材質なので、包丁の刃あたりもよく傷もつきにくいのがうれしいところ。

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Homeland 鉄フライパン

今回使用したのは、鉄フライパン浅型。鉄製なのに、とても軽いので調理がしやすいので作業がはかどります。

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リューズガラスカラフェ

ガラス製でフォルムがきれいな水差しなので、テーブルによく映えます。水差しとして使うのはもちろん、フラワーベースとしても活躍しています。

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橋本彩子

料理家・栄養士。『FOOD LETTER(フードレター)』主宰。短大を卒業後、食品メーカーに勤務。その後、ケータリング&フードユニット『CUEL(キュール)』に7年間在籍後、独立。『ル・コルドンブルー』でフランス料理の基礎を学ぶ。食材のおいしさと彩りあふれる美しい盛りつけに定評がある。現在はおもに雑誌や広告などのフードスタイリングで活躍中。2022年、東京・新富町にアトリエをオープンし、料理教室、プライベートレストラン(現在は紹介制)など、精力的に活動中。

【料理教室のご案内】
橋本さんの料理教室では生徒さんを随時募集しています。詳しくは、インスタグラム@saiko_hashimotoをフォローの上、DMにてメッセージをお送りください。プライベートレッスンは3名から受け付けております。

撮影/川上輝明(bean)、上端春菜(bean) 
アートディレクション・文/小橋太郎(Yep)