[ 家具のお手入れ辞典 Vol.1 ]

木の風合いを長持ちさせる【dareels】のお手入れ

Column・ 2022.08.05

TIMELESS COMFORTでは、自然な風合いを生かし、経年変化を楽しむことができるインテリアアイテムを数多く取り扱っています。気に入ったアイテムは、より長くいい状態で使い続けたいもの。
お客さまからも、「どんなふうにお手入れをしたらいいですか?」「水拭きやアルコール消毒はしてもいいですか?」と今の時代ならではなご質問をいただくことも増えました。

この連載では、スタッフの柏倉がブランドごとの素材の特徴などもお伝えしながら、お手入れの方法をご紹介していきます。

今回取り上げるのは、木の風合いを生かしたアイテムを展開する【dareels(ダリールズ)】。アイテムをお持ちの方はもちろん、購入を検討されている方もお手入れの方法を知って、これから共に過ごすイメージを膨らませてみてください。

味のあるリサイクル木材を使ったサスティナブルなアイテム

【dareels(ダリールズ)】は、ヨーロッパ屈指のリゾート地、スペインのイビザ島にショールームを構え、「デザイン、アート、サスティナビリティー」を理念に掲げたブランドです。

 ブランド名は、創業者でデザイナーのDavid Jofra(デビット ジョフラ)氏の名前から取った“Da”と、輪廻転生を想像したという釣具のリール“Reels”を組み合わせたもので、「持続可能なものに生まれかわる物作り」を意味しています。

 その名の通り、アイテムの素材として使われているのは、インドネシア・ジャワ島の古い建物や倉庫で使われていたチークウッドなどのリサイクル素材。再利用だからこその木の風合いは、良い味となって空間にナチュラルな温かみをプラスしてくれます。

 【dareels】で使っている希少価値の高いチークウッドを日本国内で販売するにあたり、どんな塗装が適しているのか。デザイナーのデビットとTIMELESS COMFORTのバイヤーは、木の良さを損なわない仕上げについて入念に協議を重ねたと言います。

というのも、木材の仕上げの種類には、ウレタン塗装やラッカー塗装などのコーティング系塗料とオイルやワックスなどの浸透性塗料に大きく分けられます。

また、家庭での使用か、レストランなどの業務用なのか、使用シーンによっても塗装の種類を変える必要があります。

日本では強度のあるウレタン塗装が主流ですが、塗膜が厚いため木材の自然な風合いを表現しにくいところがあり、今回のアイテムには相応しくありません。素材の良さも活かしつつ使いやすさにも繋がる塗装方法を検討し、チークウッドの自然な美しさを生かす仕上げとして辿り着いたのは、薄い塗膜で木材を保護してくれるラッカー塗装でした。

古いリサイクル素材ですから、表面が均一になるまで丁寧に削って整えていますが、手触りは艶感のあるツルツルな質感というより、程よくマットなサラサラな触り心地。塗装も他の仕上げに比べて薄いので、木の質感も残っています。

相性の悪い素材に留意すれば、日頃の簡単なお手入れのみ

では、いよいよお手入れの話に入っていきましょう。

 お手入れの方法には、どんな塗装を施しているかが鍵になります。先程も少しお話しをした通り、【dareels】のアイテムはラッカー塗装。この塗装は、木材の風合いは残しながら、傷や汚れがつきにくく水に強い薄い塗膜を表面に施していく仕上げです。

上記の「汚れがつきにくく」というところでお気づきかもしれませんが、塗装が汚れから守ってくれているため、日頃のお手入れとしては、たまに柔らかい布で乾拭きするだけでOK。定期的に大々的なメンテナンスをする必要はありません。

 毎日少しだけ気にかけてあげるだけで塗装の劣化を予防し、長く良い状態をキープすることができるので、比較的お手入れは楽ちん。だから、【dareels】のアイテムは、定期的にお手入れをするのは苦手な方にもおすすめです。

ただ、長く良い状態で使っていただくためには注意していただきたいことが3つありますので、お伝えさせてください。

① ランチョンマットはビニール素材ではなく布製のものを

ラッカー塗装とビニール素材の相性は良くありません。長時間触れていると化学反応を起こし、色移りやべたつきなどが発生してしまうことがありますので、ランチョンマットなどの敷物は、布製の物を使いましょう。
※ビニール素材のものでも、敷きっぱなしにせず、短時間使用する分には問題ありません。

② 冷たい飲み物を飲む際は、コースターを使いましょう

ラッカー塗装は水に強い仕上げではありますが、長時間水滴の付いたコップを置いたままにすると、塗膜の内側で温度変化による輪染みが出来てしまう可能性があります。温度変化を緩和する意味でも、コースターを使うのがおすすめです。

③ アルコールの入った消毒液で拭かないようにしましょう

食後に食べこぼしを拭いてきれいにしたいときは、水または中性洗剤を薄めて濡らした布を硬く絞ったもので表面を拭き、仕上げに柔らかい布で乾拭きをしましょう。アルコール消毒は塗装を剥がしてしまう可能性があります。昨今は、アルコール成分を含まない除菌剤も多く存在しますので、そういうものを使うのも良いと思います。

今回は、木の温もりを感じる【dareels】のアイテムについて、お手入れの方法をご紹介しました。

 長く使えば使うほど、どうしても細かい傷や汚れはついてしまいます。しかし、最低限のお手入れをすれば、その傷や汚れもネガティブなものではなく、家族や暮らしの歴史として温かなものになりますし、味としてアイテムを一層魅力的にしてくれるにちがいありません。

ブランドが大切にしている理念とお手入れの方法は、かけ離れているようで実は密接な繋がりがあります。そのあたりもご理解いただけると、ブランドやアイテムへの愛着もより深くなっていくのではないでしょうか。

 また、他のブランドや仕上げの方法に合わせたお手入れの方法、また汚れやシミなどをきれいにする裏技などもご紹介したいと思っています。お楽しみに。